Bonjour〜!!
南仏在住のJAGAKOです。
先日、8kgの「Moules(ムール貝)」が手に入ったので、ムール貝尽くしの料理を作ってみました。
フランスに住んでいるとシーズン構わずムール貝を食べる事ができます。
ムール貝を使った料理は、南フランスのレストランへ訪れた時、魚介類を扱うお店なら大抵取り扱いのある定番メニューで、注文してから提供されるまでが早くて、安くて、旨い!人気メニューの一つです。
そんなムール貝は夏頃が一番のシーズンですが、たまたま安く手に入ったシーズン終わり頃でも、身が締まったムール貝が美味しく頂けました。
そこで、ムール貝を詳しくご紹介すると共に、フランスの定番ムール貝料理もご紹介します!
ムール貝とは?一番美味しい旬はいつ?
「Moules(ムール貝)※和名でムラサキイガイ」は、世界中の温帯地域(海水域や淡水域)に生息しています。
産卵期が冬から春になるので、一番プリッとした食べ応えのある身に肥える時期が春から夏になり、食べ頃は夏から冬までの時期と言われています。
だから、ヨーロッパでは最も食べごろなシーズンと夏のバカンスが重なるので、北フランスや南スランスの地中海沿岸の海辺に隣接するレストランでは「Moules frites(ムール・フリット)」という、名物料理「ムール貝のワイン蒸し」を求める観光客が一気に増えます。
フランス最高峰の「Moule de Bouchot(ブショのムール貝)」とは?
ムール貝は全世界の温帯地域で生息されていますが、生息場所によって味や色、身の付き方が違います。
スーパーなどでは年中出回っていますが、一番の旬は7月〜1月までで、それ以外のムール貝は、身が細く食べ応えがありません。
フランス産のムール貝の生産量は、スペインやイタリアに次ぐヨーロッパ3位ですが、評価&価値では1位を誇っています。
特に、北西部モンサンミッシェル湾(ノルマンディー地方・南部、ブルターニュとの境に近いサン・マロ湾)の「Moule de Bouchot(ブショのムール貝)」は、クリーム色がかったオレンジ色の身がしっかりと詰まり、独特の風味となめらかでとろける様な旨味が凝縮された食感が評判で「AOP」に認定されている中でもフランス最高峰のムール貝だと言われています。
夏の時期になると定番の様に食卓に並び、フランスの子供達にはソウルフードとして食されています。
ちなみにプロヴァンス産のムール貝は北フランス産に比べると小ぶりでクリームがかった色が特長です。
フランス以外にもスペインやイタリアでもよく食されているため、ヨーロッパ内で、ムール貝は日本よりもお手軽に、そしていろいろな調理方法で食べられている人気の食材です。
ヨーロッパを訪れたらぜひ食べて欲しい食材のひとつです!
AOPとは?
「Appellation d’Origine Protégée (アペラシオン・ドリジン・プロテジェ)」の略語で、”保護原産地呼称(ほごげんさんちこしょう)”という、欧州連合(EU)が定めたワインやチーズ、農産物、魚介類などに対して、指定された地域、製法で生産された商品を表し、土地由来による差別化を認定するための制度
ムール貝の栄養価は?
ムール貝は、低カロリーでヨウ素が豊富で、特にタンパク質が多く、カルシウム、鉄分も補給する事ができる理想的な食材です。
ムール貝の保存期間と方法 〜どのくらい生きるのか検証してみた!〜
生のムール貝は、通常購入してから冷蔵庫で48時間保存する事ができます。
実はムール貝がどのくらい生き続けるのか検証してみたのですが、冷蔵庫の温度や冷蔵庫内の置く場所にもよりますが、購入して、綺麗に洗い保存用の容器に入れ、5日は持ちました。
いちよう心配だったので、毎朝ムール貝が息をしているのか(貝殻が閉じるのかを)確認しましたが、正確には3日目頃から少し元気がなくなり、5日目でもまだ生きている・・・。っという結果でした。
その間にすべて食べてしまいましたが、もしかすると生命力が強いためもう少し生きていたのかも・・・?
ただ、ムール貝は二枚貝の種類の中でも毒性が強く、食中毒を起こす危険性もあるため、必ず魚屋さんで購入し、2日くらいで食べきってしまうのが理想的だと思います。
そして、加熱調理したムール貝は、必ずその日に消費しなければいけない訳ではなく、余ったら翌日でも食べられます。
保存方法は、ムール貝をよく洗い、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙などに包んで乾燥を防ぎ、ボールや受け皿に入れて、冷蔵庫内の乾燥しない場所(奥の方)へ保管します。
または、かさ張るボールよりも、収納しやすい容器に入れたい場合は、ムール貝を窒息死させないために完全な密閉容器には入れずに、必ず蓋を開けて(または、そっと蓋をかぶせるだけで)保存した方が良いです。
ムール貝は濡れている時にだけ呼吸をするため、お手間でなければ、1日に1回水に浸してあげると長持ちします。
もし、たくさんあって食べきれない場合は、蒸してから殻をとり、汁と一緒に冷凍保存するのがオススメです。
間違っても殻付きのまま冷凍保存してはいけません。
それは、ムール貝は冷凍保存に向いていないからです。
まぁ、冷凍庫内もかさ張るし、匂い漏れも気になるので殻ごと冷凍保存をする方はいないと思いますが、もし、ムール貝を冷凍保存したいのであれば、一度殻から外す!加熱調理をする!それが鉄則です!!
●冷蔵保存は(10度以下で)48時間保存可能
●ムール貝は毒性が強いので必ず専門の魚屋さんやスーパーで購入
●ムール貝は乾燥が大敵なため、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙などで包んでから保存する
●冷凍保存する場合は、一度加熱処理をして、煮汁と一緒に保存する
下処理の仕方
ムール貝の特長として、岩場などに生息し、岩にぶら下がって育つため、アサリや蛤などと違って、砂に潜って活動しないため、砂を体内に吸い込みません。
だから、砂抜きが不要で、ジャッリっという砂の食感を味わう事もないので、子供でも比較的抵抗なく食べられる貝です。
その代わり、海の中で流されないように岩などにくっつくための足糸(そくし)という、海藻のような「ヒモ」が 付いています。
貝の身体の一部で食べられないため、調理直前に引き抜きます。(※一旦冷蔵保存する場合は抜かない。取って放置してしまうとムール貝の鮮度が落ちてしまうので注意!)
貝からはみ出している足糸を引き抜く方法は、口が開く方向、細い方から貝先へ引っ張ると取れます。
新鮮なムール貝はなかなか取りにくいので、ハサミを使って切ってしまっても大丈夫です。
もし残したままだと、食べた時に食感が固く残ってしまいます。
それから、ムール貝の殻と殻をこすり合わせるようにして不着物を取り、流水でよく洗う必要があります。
すでに殻が割れている場合やムール貝がパックリ空いてしまい閉じない場合は、もう死んでいる可能性が高いので、迷わず捨ててしまう事をおすすめします。
ムール貝と言ったら白ワイン蒸しの「Moules marinière」
「ムール貝」と言ったら、「Moules marinière(ムール・マリニエール)」と呼ばれる、エシャロット(玉ねぎ)と白ワインで蒸し焼きにした料理が有名です。
「Marinière(マリニエール)」とは、漁師風を意味する言葉で、ブルターニュ地方の郷土料理、漁師料理のひとつです
そして、その白ワイン蒸しに、Frite(フリット/ポテトフライ)が付く「Moules frites(ムール・フリット)」がヨーロッパでは一番人気です。
ムール貝から滲み出たダシのスープに、フリットやバゲットを浸して頂くのが通な食べ方です。
他にも、「Moules à la crème(ムール貝の生クリーム蒸し)」など、地域によって様々な味のバリエーションがあります。
例えば、「Moules à la provençale(プロヴァンスのムール貝)」は、
オリーブオイルを入れた鍋に、トマト、ニンニク、タマネギ、バジル、タイム、ローズマリー、パセリを入れて炒め、白ワインとムール貝を入れ、豪快に蒸し焼きにした、バケツいっぱいのムール貝がご当地メニューにあります。
それから、激戦区の漁港周辺のレストランでは、定番の「ムール・マリニエール」以外に、カレー風味のムール貝や「アニス」というハーブ(香料や薬草)の一種を使ったムール貝など、お店によって違った味が楽しめるレストランもあります。
ちなみに「アニス」は、南仏マルセイユ名産の食前酒「Pastis(パスティス)」というリキュールに使われているハーブで、強烈なアニス風味と独特な味が特長です。
魚介の旨味とトマトが相性抜群のムール貝のトマトパスタ 「Pâtes aux moules et à la sauce tomate」
「Moules marinière(ムール・マリニエール)」を堪能した後に残った、だし汁を捨てずに利用した定番が、ムール貝と相性の良いトマトを使った「Pâtes aux moules et à la sauce tomate(ムール貝のトマトパスタ)」です。
すでにダシが効いているので、塩・コショウなど何も味付けをせず、パスタを茹でてソースに絡まらせるだけでも十分ですが、一手間をかけるのであれば、ムール貝やエビ、イカ、タコなど魚介類をさらに加え、魚介の旨味をより一層プラスしたパスタがおすすめです。
ムール貝から滲み出たダシは、塩っ気が強いので、生クリームや牛乳、無塩バターなどをプラスすると味がまろやかになります。
それから、ムール貝はパスタ以外のリゾットやパエリアにしても美味しいです!
ニンニクとバターが癖になるムール貝のパン粉焼き「Moules gratinées」
「Moules gratinées(ムール貝のパン粉焼き)」は、魚介類を扱う南仏のレストランでよくある定番メニューで、バターとニンニクがたっぷり使ってあるのが特長です。
ただ、メインの料理ではなく、前菜やメイン料理が出てくるまでのアペロメニュー(おつまみ)として食される事が多く、特に溶けたバターがパン粉に絡み、ニンニクが食欲をそそり、ワインや食前酒にとても合います。
初めはそのままムール貝を堪能するのですが、お皿に付いたニンニクバターソースをバゲットに付けて食べると美味過ぎて、さらにワインがすすみ、メイン料理が出てくる前にお腹一杯になってしまうので危険です!(笑)
お家でも簡単に作れるレシピですが、ぜひ、海を眺める事が出来るレストランで頂いたらサイコーです!
フランス人が大好きなアペロとは?
●「l’Apéro(アペロ)」とは、「Apéritif(アペリティフ)」の略で、”食前酒”を意味する。
●”食前酒” とは 、夕食の前に、一人、または他の人と一緒にワインやお酒など、アルコール飲料と軽食を味わう憩いの場を意味します。
あとがき
海の幸が豊富に手に入る港町に住んでいるので、様々な魚介類を食べられる環境なのは、本当に幸せだと思うのですが、日本の様に下処理がされていなかったり、魚も基本的に丸焼きなので、子供が食べやすい様に結局、自分で魚を捌く技術を身につけなければいけなかったり、海外で魚介類を美味しく食べるには色々とハードルが高かったりします。
その中でも、ムール貝は比較的、簡単に下処理、調理する事ができる食材なので、料理初心者でも早く、美味く作る事ができます。
そして、ぜひ、ヨーロッパに訪れた際は、バケツいっぱいのムール貝を堪能して欲しいです!!
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